一眼レフで写真を撮っていると「ピントが合っていない」「ピントが甘い」ということはよくありますよね。
カメラのモニターは小さめなのでピントが合っているように見えても、帰宅してPCで見てみると「ピントが合っていない」というのは日常茶飯事です。
今回はピントの合ったシャキッとした写真を撮るために、ピントが合わない理由・合わせるためのポイントを解説します。
ピントが合わない原因
まずはなぜピントが合わないのか?理由を知っていれば自ずと対策も可能です。
手ブレしている
手持ち撮影の場合、シャッターボタンを押すときにカメラを持つ手が動いてしまい、ピンぼけを起こしてしまいます。
カメラのグリップを右手でしっかり持ち、左手は手のひらでレンズを支えるように持ってください。
カメラの重さが左手で下から支えるようにしてください。スラムダンクの「左手は添えるだけ」とは逆です。右手はグリップに添えるイメージです。
シャッターボタンを押したらシャッターが戻るまでは必ず動かさないこと。そしてこの時に息を止めてみてください。呼吸をしていると肩や腕が動き、手ブレの原因になっている場合があります。
レンズの個体差(前ピン・後ピン)
前ピン・後ピンというのはレンズが初期出荷の段階でピントがズレて設定されていることです。
故障というほどではなく、カメラの世界ではレンズの前ピン・後ピンは”あって当たり前のもの”になっています。
とは言っても、元からピントが合っていない写真を使うのは精神衛生的にも良くないですよね。
前ピン・後ピンを直す一番各自な方法はメーカーのサービスセンターに持っていくことです。しかし、手間もかかりますし、お住いの地域によっては難しい場合もあります。
自宅でピントを調整してみよう
もう1つの方法は自分でピント修正を行う方法です。中級機以上のカメラはレンズごとにピントの微調整ができる機能が備わっています。
一度設定すると、カメラ側でレンズのピント設定を記憶し、正しいピントの位置で写真を撮ることができます。
ピントを微調整するためにはまずどの程度ピントがズレているか知る必要はあります。
上記のようなピントを測定できる器具を使って、正しい位置にピントを合わせていきましょう。
フォーカスモードがマニュアルになっている
カメラやレンズのフォーカスモードがAF(オートフォーカス)ではなく、MF(マニュアルフォーカス)になってしまっていた例です。
MF(マニュアルフォーカス)は自分でピントを合わせる方法ですね。自動でピントが合うAF(オートフォーカス)だと思っていたのに、MF(マニュアルフォーカス)になってしまいピントがズレて撮影してしまうということです。
AF/MF兼用のレンズには必ず切り替えスイッチがあるのでチェックしてみましょう。知らないうちにスイッチに触れて切り替えていたということがあります。
被写体との距離が近すぎる
レンズにはそれぞれ”最短撮影距離”という被写体まで近づける最短の距離があります。最短撮影距離より近づくとピントは合いません。
被写体に近寄って撮影したい場合は、まずはグッと近寄ってピントを合わせながら少しずつ離れてみてください。
被写体にグッと寄って撮影したいときはマクロレンズが活躍します。
草にかかっている蜘蛛の巣まで捉えることができます。余談ですがマクロレンズは”被写体に寄れるレンズ”ではなく、”被写体を大きく写せるレンズ”です。まぁ結局どちらも一緒なんですけどね(笑)
レンズとカメラの接点異常
「カメラとレンズが上手く装着できていない」「接点部が汚れている」などの理由から異常を起こし、ピントが合わないケースです。
レンズの掃除がよくやりますが、接点部は掃除しないことが多いんですよね。定期的にメンテナンスをしましょう。接点異常が続くと、最悪カメラやレンズが故障する原因にもなります。
視度調整ダイアルがズレている
視度調整ダイアルというのはファインダー近くにあるダイアルのことです。
このダイアルを回すことで、ファインダーの見えやすさを調節することができます。眼鏡の度を合わせるイメージです。
ファインダーから見えるピント具合がズレていると、実際に撮れる写真もズレてしまいます。AF/MFの切り替えスイッチと同じく、いつの間にかズレていることもよくあります。
場所が暗い
単純に撮影場所の光量が少なく、カメラがピントを合わせられない状況です。
ISO感度を上げる・明るいレンズを使う・絞りを開放する・ストロボなどで光量を確保する、などしなければピントを合わせるのは厳しいです。
被写界深度が狭い
被写界深度というのはピントが合う奥行きの範囲です。基本的にF値(絞り値)で被写界深度は決まります。
- F値が高い(絞っている)= 被写界深度が深い
- F値が低い(開放している)= 被写界深度が浅い
ということになります。
こちらは被写界深度が深い写真です。風景写真なのでF値を絞り被写界深度を深くして、全体にピントを合わせるのです。
逆にこちらは被写界深度が浅い写真です。鳥を強調し背景をボカスために被写界深度を浅くして、一部にピントを合わせます。
被写界深度が浅いとボケのある味の写真が撮れますが、それだけピントを合わせるのは難しくなります。
ピントが合わない・甘いと感じたら、気持ちF値を絞ってみましょう。
被写界深度はF値をいじりながら同じ位置で同じ被写体を撮ってみると肌で理解できると思います。
ピントがあった綺麗な写真を撮るには
先程まではピントが合わない・甘くなる原因・対策を解説しました。ここからはよりピントが合った素晴らしい写真を撮るテクニックです。
人物写真は目にピントをあわせる
ポートレート撮影をする際、ピントが人物の目に合わせるようにしましょう。「目は口ほどに物を言う」ということわざがあるように、目にしっかりピントが合っていると自分の喜怒哀楽が強調されます。
また、人物の真正面以外で撮る場合は、前方にある目、後方にある目、どちらにピントを合わせるかで写真の印象は大きく変わります。
ISO感度を下げる
ISO感度上げすぎるとノイズが増え、ディティールの潰れた甘い写真になってしまいます。厳密に言うとピントは合っているのですがピントが合っていない写真のように見えてしまうんです。
極力ISO感度は下げ、ディティールがはっきりした写真を撮るようにしましょう。
ただし、ISO感度を下げすぎるとシャッタースピードが稼げなくなり、結果手ブレが起きやすくなります。バランスが大切です。
AF-Cを使う
AF-C(コンティニュアスAFサーボ)というシャッターボタンを半押ししている間、動いている被写体にピントを合わせ続けるモードです。
逆にシャッターボタンを半押ししている間、ピントを固定するモードはAF-S(シングルAFサーボ)と言います。
動いている被写体を撮るときはAF-Sでピントを合わせても、シャッターボタンを押したときは被写体がズレてピントもズレやすくなります。
子供を撮るときなどはAF-Cは必須です。
連写をする
半分やけくそ・数撃ちゃ当たるですが連写して、ピントの合った写真を選別する方法です。前述のAF-Cと併用して威力を発揮します。
動いていない被写体をAF-Sで撮影する時はあまり活用できません。
拡大して確認する
少し面倒ですが撮影した後にカメラのモニターで撮った写真を拡大し、ピントをチェックします。
もしピントが合わない・甘いときはこの記事で紹介した原因・対策を思い出してください。
ピント合わせは難しくない
ピントは写真にとってかなり大切なので、ピントの合っていない写真を撮って後々後悔する前に、この記事で紹介したポイントを抑えておいてくださいね。
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